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帰山栄治作品解説集

マンドリンオーケストラのための「トリアーデ」

編成 演奏時間
Mn1 Mn2 Ma Mc Gt Cb チェレスタ(シンセサイザー) シロフォン トライアングル ?分
演奏日時 備考 演奏団体
2014.9.21 初演 名古屋マンドリン合奏団56回定演

名古屋マンドリン合奏団創立50周年の記念行事の一つとして、帰山先生に無理を言って創っていただいたのが、この曲である。我々の依頼内容は、「みんなで合奏をしたい、それぞれのパートがまるで独奏者のように唄い、お互いに絡み合って、楽しく演奏できて、マンドリンオーケストラの特徴を出せれるものを…」と、言いたい放題のお願いをしたのである。初めのうちは、もう歳だからとかなんとかおっしゃっていたのだが、実に精力的に取り組んでいただき、内心、練習時間が足らないかもしれないと覚悟していたところ、思いもよらず早く仕上げてくださった。したがって、練習時間がなくって、という言い訳ができなくなったのは計算外のことである。

さて、曲そのものは三つの章で構成されており、私などが説明するのもおこがましいので、以下、帰山先生のお言葉を勝手に引用させていただく。(先生ごめんなさい)

今回の「トリアーデ」は「楽章」でなく「章」扱いになっています。「章」は「楽章」に比べて「独立性」「主張性」が弱いということで、3章合わせて「1曲」であるという考え方になった次第。各章の間を行ったり来たりもしているはずです。本当は「〜のための3章」というタイトルでも良かったのですが、たまたま「トリアーデ」なる言葉に出会ったので、それを頂いたということです。だから、「トリアーデ」(三幅対)には別に「深い意味」はありません。イメージの中では、無意識に洋画ではなく日本画でしたが。

大先生の作品の中身を解説するのはなかなか勇気のいることであるが、あえて内容についても触れたい。
第1章は自由なソナタ形式と言ってもよい構成感のある曲となっている。ゆっくりと静かに、しかし力強さのある第1主題と言ってもよい少し長めの序奏のあと、チャイコフスキーの悲愴交響曲を思い出させるような早く激しい主題に突入する、なかなかドラマチックな展開である。ひとしきり各パートを主題が飛び交いながら展開が進み、突然メロディアスな旋律が登場するも、再びリズムの波に飲み込まれてしまう。再度この旋律が出現して、今度は静かに落ち着きを見せ、再現部へと続く。再現部では序奏が五度上で音価は半分となるが似たようなテンポ感で現れ、元の調に戻って主題が正確に再現され、終結部へと導く。
第2章はトライアングルとチェレスタが加わり、色彩感のある絵画風な抒情詩である。冒頭同様、ゆっくりとした息の長い序奏に始まるが、様々なメロディーが登場してくる。とっても調性感のあるパッセージもあれば、第1章を回想する部分もあり、次への予感を含んで静かに終わる。
第3章、終曲はのっけから帰山節である。ギターの特徴的なシンコペーションが絶妙な合いの手となって、こぎみよいリズムを際立たせる。第2章を思わせるギターのアルペジオや、メロディアスな第1章の旋律を交えながら、ロンド形式のような進行から次第に速度を増し、第1章の序奏も参加して緊張を高め、意外にも静かにおとなしく収まってゆき、チェレスタとギターのアルペジオで幕を引く。
全曲を通して息の抜けない大曲ではあるが、まさにマンドリンオーケストラによる合奏協奏曲ともいうべく機知に富んだ作品となっており、前述した我々の希望をはるか高い次元へと昇華させている。

帰山先生はお体のメンテナンスの予定があったものを、この曲の作曲のため、少し遅らせていただいた由、その後メンテナンスも無事終わられ、安心するとともに団員一同を代表して心よりお礼を申し上げたい。また、先生は気力を振り絞って書いたといわれたが、この曲に触れてみる限り、まだまだこれからもすばらしい作品が期待できるのではないかと心底思う次第、今後のますますのご活躍を祈念したい。

(名古屋マンドリン合奏団第56回定演パンフレットより、許可を得て全文転載)


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